<< July 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

北海道初のパッシブハウス

先日、北海道北広島市の今川建築設計監理事務所をお訪ねし、
先頃完成した北海道初のパッシブハウスを見学させて頂きました。





気密施工には、インテロ調湿気密シートを始めとする
プロクリマの気密製品(テスコン気密テープ・気密ガスケット等)
を採用して頂きました。

天井





究極の省エネハウスであるパッシブハウスが
こうしてまた一軒日本に完成し私も嬉しいです。

後日、上田札幌市長の視察があり、
その日の模様はHBC北海道放送で放映されたそうです。



パッシブハウスの説明をする今川氏

エネルギー消費を低く抑え、CO2排出量低減に貢献する
この様な究極の省エネ住宅が今年も少しずつ増えて行くことを
期待しつつ北海道を後にしました。
ecotransfer-j * パッシヴハウス * 19:30 * comments(0) * trackbacks(0)

山頂のパッシヴハウス-2

前回に引き続き、「シーストル・ハウス」について
もう少し詳しくご紹介しようと思います。


これは1884年開業の旧シーストル・ハウスです。
旧シーストル・ハウス

建物の老朽化とエネルギー消費効率の悪さを理由に
2000年から建設計画が立てられました。

工事着工は2004年で、総工費約2億5000万円をかけ
完成したのはその翌年です。

新シーストル・ハウス。



まず1階部分の図面です。
玄関・管理人室・キッチン・食堂・乾燥室・トイレ等があります。
1階部分

休憩室を兼ねた食堂。
食堂/休憩室

南に面しているので日当たりは最高です。


2階です。
2階部分
客室・浴室・洗面所等があります。


壁構造は、外から中に向けてこうなっています。
19mm  外壁材(カラマツ、置き方は水平)
24mm  空気層 縦方向の胴縁
0.2mm 透湿防水気密シート(調湿機能有)
16mm  DWD板(AGEPAN)
240mm 木質繊維断熱材(Heralan)
30mm  OSB板
0.2mm インテロ調湿気密シート(調湿機能有)
80mm  木質繊維断熱材(Heralan)、胴縁 
15mm  内壁材 3S板(ドイツトウヒ、オイル・ワックス済)
(断熱性能U=0.11W/K)


全ての資材機材はこのようにヘリコプターで運びました。
飛行回数は600回にも及んだとのことです。
 

工場で作った壁をヘリコプターが運びます。













パッシヴハウス仕様の高断熱窓(断熱性能0.71W/K)。



気密試験(ブローアー・ドア・テスト)

50Pa減圧時の溺気回数が1時間当たり0.32という素晴らしい数値でした。
時速200km以上の暴風荒れ狂う吹きさらしの山頂では、
壁や屋根の気密性能が特に重要になってきます。


暖房・換気システムです。

空気の流れはこのようになっていて、
排気前の空気からは90%の熱を取出し再利用します。


温水・電力供給システム。


全館の電気は冬の間に充電します。



雨水利用システム。



シーストルハウスは山の避難所でもありますので、
冬期には通常営業こそしませんが登山者がいつでも立寄れるように
施設の一部を常時開放しています。




いかがでしたでしょうか、山頂のパッシヴハウス。
まだまだ紹介し切れない気がしますが、今回はこの辺で。
ecotransfer-j * パッシヴハウス * 14:40 * comments(0) * trackbacks(0)

山頂のパッシヴハウス

なかなかブログを更新する余裕が無く、
なんと約1年半ぶりの更新となってしまいました……。


今回は、世界で一番高い場所に建つパッシヴハウスに
行って来た日のことを書こうと思います。
オーストリアのホフシュワープHochschwabという山にある
「シーストル・ハウスSchiestlhaus」です。

(ホームページでの紹介記事はこちら。)

Schiestlhaus
(写真:ウィキペディア・ドイツ)

ところで、世界初のパッシヴハウスが建てられたのは
今から20年近く前のことで、
ドイツ・パッシヴハウス研究所のファイスト博士が
フランクフルト市近郊に建てました。
私もこれまでに何度となくそこを訪れ、
実際にそこに住んでいる方々から経験に基づくお話を伺ってきました。

パッシヴハウスの建築技術について知れば知る程興味がわきました。
パッシヴハウスというのは、
どれ程厳しい気象条件下にあってもしっかり機能するのか。
この技術によってどこまで省エネできるのか。
省エネと居住空間の快適さの点ではどれ位意義のあるものなのか。


今回ご紹介するシーストル・ハウスのことを
私が耳にしたのはほぼ1年前のことです。

シーストル・ハウスが総工費2億円をかけて建てられたのは約4年前。
その標高は2154mです。

建設に当たっては、全ての機材も資材も
ヘリコプターで運ばざるを得ませんでした。
山頂での厳しい天候での作業は、
時として実に苛酷なものであっただろうと想像します。

そこの天候がどれ程すごいかというと、
例えば、9月から5月までは
夜間にマイナス35度にまで下がることがあります。
そして山頂の強風は、時速220kmにも達することがあります。


今回一緒に行ったのは、私がいつもお世話になっている
SKWイーストアジア(株)会長のボルツァーさんです。

ボルツァーさんはパッシヴハウスのテーマに以前から興味をお持ちで、
この珍しい山頂のパッシヴ「山小屋」を是非一度見に行こう、
そこに泊まってみよう、ということに相成りました。


さて、世界で一番高い所にあるパッシヴハウスへ。

7月13日の朝、私達はミュンヘン近郊で落ち合い、
登山口までの約400kmの距離を車で向かいました。

登山口から山頂までの間には、
ゴンドラや登山電車やリフトといったものは一切ありません。
それどころか、道らしい道さえ無い箇所も。

今回の山登りツアーは、
普段気軽に行くような山歩きとは違いますので、
それなりの装備が必要です。

昼過ぎに登山口の駐車場に到着。
そこから山頂までの標高差は1300mもあります。
徒歩で5〜6時間の道のり、らしいです。

いざ出発です
いざ出発です。

広大な景色

アルプスの大自然に囲まれ歩く登山路は、
それはそれは美しい景色の連続でした。
見たことも無い様々な高山植物が
それぞれに美しい色の花を咲かせていました。


アルプスの花。




14
残雪。

4

何度かの休憩を挟みながら、
6時間をかけて山頂に辿りついた時には夜の8時になっていました。
夜8時といってもこちらはまだまだ日が長いので、
暗いということはありません。


シーストル・ハウスに到着しました!



駐車場を出発した時の気温は24度でしたが、到着時の山頂は6度。
吹く風はとても寒かったです。しかし何とも言えない達成感!

ところで、山頂の気温は6度でしたが、
それではシーストル・ハウスの中は何度だったと思いますか?

21度でした。

玄関から一歩入れば、建物の中はどこも21度。

管理人さんのお話によれば、
夏以外の時期でも室内は一年中ほぼ同じ温度だそうです。

これ程厳しい天候に日々さらされていることを思えば、
さすがパッシヴハウスです。私は改めて感心しました。

管理人さんに伺うと、
「省エネの点では当初の期待通り。
室内の空気が時として乾燥し過ぎることがあるかな」
とのことでした。

宿泊は、ベッド数が2、4、11の三タイプの部屋のどれかになります。
何時間もかけて登って来るアルプス登山愛好家達にとっては、
これはもう素晴らしい贅沢とさえ思えてきます。
ちなみにその日の宿泊客は20名でした。


レストランです。


山のてっぺんなのに食事がとても美味しくて驚きました。

その夜は疲れとビールの酔いであっさり寝入ってしまいましたが、
夜中は暴風が吹き荒れ、眠りながらもその音が
ずっと聞こえていたように思いました。


さて翌朝は、夏とは程遠い天候となっていました。
強い雨と深い霧。外気温度5度。
夜中吹き荒れた嵐は、時速180kmの速度だったそうです。

朝になっても正面玄関ドアを開くことも出来ない程の強風。
こんな天候では建物の中にいる方が安全というものです。

私達は、快適な食堂で外の景色を眺めながら朝食をとりつつ、
天気が回復することを願いましたが、
なかなかそうは行きませんでした。

しばらく待った末に出発したのは午前10時。
冷たい雨はまだ降り続き、霧も深かったのですが、
私達は装備を固め、シーストル・ハウスを後にしました。

霧の中を出発

霧の中を出発

標高にして300m程を下るまでは、
雨と霧の中で帰路を探しながら歩くことになりました。

それでも40分程歩き続けると、
幸運なことに雨雲が切れ雨がやみました。

下れば下る程に、外気温が上がっていくことを体感しました。
そして、下るにつれて天気も良くなっていきました。

17

16

山歩きの途中でこのようなヒュッテに立ち寄って休憩するのは
とても楽しいものです。








突然道を横切る牛の群れ。
通り抜けるには少々勇気が要ります。
牛牛牛

昨日同様、何度か休憩をしながら帰りました。
車を停めた駐車場まで、歩いた時間は約5時間。



無事に下山し何とも言えない達成感でした。
このようなツアーをする機会が持てたことがとても嬉しかったです。

21


私はアルプスの山々がとても好きで、時々山歩きに行ったり、
マウンテンバイクを車に積んで行って山道を走ったりもするのですが、
今回の様な珍しい所にあるパッシヴハウスで一晩を過ごせたことは、
私にとってまたとない大変貴重な経験となりました。

19

11


ノルベルト・"エコマン"
Norbert Ecomann Baumann 
Eco Transfer Japan
ecotransfer-j * パッシヴハウス * 22:00 * comments(0) * trackbacks(0)
このページの先頭へ